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たばこ会社の見解
たばこ会社による詐欺事件での米国連邦裁判所の判決(2006年)によれば、それまでたばこ会社は、受動喫煙の有害性を否定する、誤解させる虚偽内容の見解を公表してきたという。
日本たばこ産業(JT)
環境たばこ煙は周囲に不快感を与えうる、とする。 しかし受動喫煙が病気を起こすことについては、数ある研究論文の中から2報のみを取り上げ、「説得力のある形では示されていません」と主張する。
「環境中たばこ煙は、周囲の方々、特にたばこを吸われない方々にとっては迷惑なものとなることがあります。 また、気密性が高く換気が不十分な場所では、環境中たばこ煙は、眼、鼻および喉への刺激や不快感などを生じさせることがあります。 このため、私たちは、周囲の方々への気配り、思いやりを示していただけるよう、たばこを吸われる方々にお願いしています。 また私たちは、公共の場所等での適切な分煙に賛成し、積極的に支援しています。
一方、環境中たばこ煙は非喫煙者の疾病の原因であるという主張については、説得力のある形では示されていません。 環境中たばこ煙への曝露と非喫煙者の疾病発生率の上昇との統計的関連性は立証されていないものと私たちは考えています。 また、環境中たばこ煙は、空気中で拡散し、薄められているので、喫煙者が吸い込む煙中の成分の量と比べると、非喫煙者が吸い込む量は極めて少ないものです。 動物で発がん性を評価する試験においても、環境中のたばこ煙により、がんを発生させることは極めて困難です」
フィリップ・モリス社
受動喫煙の有害性に関する公衆衛生機関の結論に基づく受動喫煙防止措置は適切、と主張する。
「環境中たばこ煙は、成人の非喫煙者に肺がんや心臓病などの疾病を、また子供たちに喘息、呼吸器感染、咳、端鳴、中耳炎、乳幼児突然死症候群などを引き起こすと、公衆衛生当局は結論づけています。 さらに、環境中たばこ煙は成人の喘息を悪化させるおそれがあり、目、喉、鼻の炎症の原因にもなりうると結論づけています。 環境中たばこ煙とは、火のついたたばこの先端から出る煙と、喫煙者が吐き出す煙を合わせたもののことをいいます。
たばこの煙がある場所にいるかどうか、また喫煙者であれば、いつどこで喫煙するかについては、環境中たばこ煙が健康に及ぼす影響に関する公衆衛生当局の見解を基に判断されるべきです。 また、子供の周りでは喫煙は控えるなど、特に子供に対しては十分な配慮が必要です。
このような公衆衛生当局の結論に基づいて公共の場所での喫煙を規制するのは適切な措置であると私たちは考えています。 また、喫煙が許されている場所では、上記のような公衆衛生当局の見解を伝える警告が表示されるよう政府によって義務づけられるべきであると考えています」
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ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)
受動喫煙が肺癌や心臓疾患などの原因になるかは明らかでない、と主張する。
「世界保健機関(WHO)やその他多くの公衆衛生団体は、受動喫煙もしくは間接喫煙が様々な疾病の原因の一つであるという報告をしています。 また、そうした受動喫煙もしくは間接喫煙のリスクは、実際の喫煙のリスクよりははるかに小さいものの、そのリスクに照らし、公共の場所での喫煙を公衆衛生に関する重要な問題の一つとして取り上げるべきであると言われています。
私たちは、受動喫煙が短期的に健康に影響を及ぼす可能性はあると考えています。 例えば、子供の喘息や呼吸器疾患の症状を悪化させる可能性です。 しかし、私たちは、受動喫煙が肺がんや心臓疾患などの慢性疾患の原因になるかどうかは明らかでないと考えております。 科学的な観点からは、受動喫煙のリスクがあるとしても、あまりに小さいため確かな精度では測定できないというのが私たちの見解です」
R.J.レイノルズ社(日本語訳)
「個人は喫煙をするかどうか判断する際に、米国公衆衛生局、米国厚生省疾病管理・予防センター(CDC)その他の公衆衛生機関の報告に基づくべきである」と主張する。
日本政府(厚生労働省)の見解
2009年3月24日に厚生労働省は、「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会報告書」を発表した。 この報告書では、受動喫煙が死亡、疾病及び障害を引き起こすことは科学的に明らかであること、並びに、受動喫煙を防止するため公共的な空間での喫煙を規制した国や地域から、規制後、急性心筋梗塞等の重篤な心疾患の発生が減少したとの報告が相次いでなされていること等に言及するとともに、受動喫煙防止対策を一層推進し、実効性の向上を図る必要がある旨の現状認識を示している。
また、基本的考え方として「今後の受動喫煙防止対策は、基本的な方向性として、多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである」としている。
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環境たばこ煙
環境たばこ煙(かんきょうたばこえん、ETS)とは、たばこの喫煙により周囲に発生する煙であり、いわゆる主流煙と副流煙の混合物である。 環境たばこ煙(ETS)への曝露は、受動喫煙と呼ばれる。
物性
ETSは、数千種の気体と浮遊粒子状物質の複雑な混合物であり、微粒子の大きさは、0.01-1.0μmの範囲にわたる。 その成分の一部は人体に悪影響を与えることが明らかになっている。 また、ETSは喫煙後の吐息にも含まれ、粒子状物質は頭髪や衣服などに付着し、悪臭等の原因となる。
ニトロソアミン類
ニトロソアミン類はETSに含まれ、ナス科の野菜であるタバコに含まれる化合物である。 類似にはジャガイモを焦がしすぎても発生するとされる。 (ニトロソ化合物も参考の事)ニトロソアミン類は発癌性を持つとされ、中でもN-ニトロソノルニコチンと 4-(メチルニトロソアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブトンが最も強い発癌性を持つと言われている。
多環式芳香族炭化水素
多環式芳香族炭化水素では、少なくとも10種の化合物が、ETS中の発癌物質とされている。 ベンツピレンはその中で最も強い発癌性をもつ多環式芳香族炭化水素のひとつとされている。
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ETS排出量
米国では、毎年647トンのニコチン、5860トンの浮遊粒子状物質(SPM)、3万トンの一酸化炭素が喫煙によって排出されていると試算されている。
ETS曝露
空気中のニコチン濃度は、感度・特異度の高い受動喫煙の指標とされており、特定の場所において受けるETS曝露の評価に用いられる。 一方、特定の人が受けたETS曝露の評価に用いられる物質は、「バイオ・マーカー」と呼ばれる。 バイオ・マーカーにはしばしば、ニコチンの代謝物であるコチニンが利用される。
建築設計とETS曝露
現在の空調システムのみでは、ETS曝露をなくすことは不可能であり、むしろETSを建物じゅうに撒き散らすことになる。
ETS曝露の現状
非喫煙者の大多数が、受動喫煙を強いられていることは確実とされているが、米国ではその程度は20年間で減少したとされる。 また、受ける曝露の程度は国によって異なる。 家庭と仕事場が、最もETSに曝露されやすい場所である。 低所得者層ほどETSに曝露される傾向にある。 レストラン・酒場・ギャンブル場・乗物では、ETSへの曝露が続いている。 また、隣家住民のベランダや庭や換気扇下での喫煙によって喫煙者のいない自宅においても曝露されるケースも続いている。
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受動喫煙症
受動喫煙症(じゅどうきつえんしょう)とは、受動喫煙により起きる健康被害について、日本禁煙学会や禁煙推進医師歯科医師連盟等が独自に提唱している診断病名である。
概念
タバコ煙に曝露された際に眼の刺激症状(眼が痛い、眼がしみる)、喉の刺激症状(喉が痛い、咳き込む、喘息)、脳血管の刺激症状(頭痛)といった症状が起きる。 これを急性受動喫煙症という。 現状厚労省による傷病名の登録、疾病及び関連保健問題の国際統計分類の登録は存在しない(喫煙関連においては、喫煙者気管支炎のみ存在する)。
急性受動喫煙症の症状が発生する際に
受動喫煙後に症状が発生し受動喫煙の停止により症状が消失する。
受動喫煙がない場合には発症しない。
煙草の煙以外の有害物質による暴露がない。
この3点があれば、急性受動喫煙症の可能性が高いとされる。 なお、急性受動喫煙症と診断されるには、非喫煙者がタバコの煙を暴露した事実とこれらの症状のみでコチニン(タバコに含まれているニコチンが体内で代謝された物質)の検出は不要である。
これを繰り返すうちに再発性急性受動喫煙症となる。
再発性急性受動喫煙症が進行すると、慢性受動喫煙症を発症するとされる。
疾患
化学物質過敏症
アトピー性皮膚炎
気管支喘息またはその悪化
狭心症
心筋梗塞
脳梗塞
COPD
小児の肺炎
中耳炎
気管支炎
副鼻腔炎
身体的発育障害
これらが、慢性受動喫煙症に属する疾患である。 慢性受動喫煙症の診断基準は、非喫煙者が週に1時間以上繰り返し避けられない受動喫煙があり24時間以内に測定した尿からコチニンを検出するかどうかである。 但し、1日に数分でも連日に渡って避けられない受動喫煙がある場合にはこれに起因する他の慢性の症状が起きる可能性があり、1日に1時間以内のタバコ煙の暴露でも状況をみて総合的に判断し受動喫煙症と判断してもよいとされる。
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