受動喫煙

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    受動喫煙

    受動喫煙
    受動喫煙(じゅどうきつえん)とは、喫煙者の周囲の人が、自分の意思とは無関係に環境たばこ煙(environmental tobacco smoke:ETS)に曝露され、それを吸入することである。
    ときに「間接喫煙」、「不随意喫煙」、「不本意喫煙」ということもある。
    対義語は能動喫煙(のうどうきつえん)。
    環境たばこ煙とは、副流煙(喫煙者が直接吸う主流煙に対し、たばこの先から立ち上る煙)と、呼出煙(喫煙者の吐き出す煙)が混じり合った煙である。
    副流煙には主流煙よりも多くの有害物質が含まれており、非喫煙者であっても喫煙者の煙を吸うことで、健康に悪影響を及ぼす危険性が増大する。
    受動喫煙の人体への影響に関する研究は、疫学・毒物学などの分野を中心に進んでいる。
    2006年米国公衆衛生総監報告によると、受動喫煙による健康被害が確かに存在する旨が発表された。
    各国において医学・公衆衛生などの関連諸学会・公衆衛生機関などは予防の観点から、受動喫煙防止を要望・推進している。
    しかし、禁煙を提唱する学会・公衆衛生機関の動きに対し、たばこ産業や一部識者による反対も存在する。
    国際的な受動喫煙防止意識の高まりはたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組条約)として形となり、日本においても健康増進法などで具体化されつつある。
    また、受動喫煙被害に関する裁判も行われている。


    歴史

    歴史
    医学界での研究の進展
    1939年、ドイツのフリッツ・リキント(Fritz Lickint)医師が、初めて“passive smoking”の語を用いた。
    しかし最近では、“environmental tobacco smoke”(環境たばこ煙ETS)、“secondhand smoke”などがよく用いられる。
    受動喫煙と健康に関する疫学研究は、1960年代後半に初めて発表された。
    総括的には、1972年に米国公衆衛生長官報告書「The Health Consequences of Smoking: A Report of the Surgeon General(喫煙の健康影響)」が初めて、受動喫煙を健康に対するリスクとして認定した。
    受動喫煙と健康に関する研究の初期の頃は、親の喫煙による子の呼吸器への影響に関してであった。
    その後1981年、受動喫煙と肺癌の関係に関する最初の大規模研究3報が、 平山論文を皮切りに次々と発表された。
    その後もいくつかの研究が発表され、1986年、これらの諸研究を総合評価することによって、3つの別個の公機関が、受動喫煙を肺癌の原因と結論した。
    その後も数々の研究が、受動喫煙を原因とする新しい疾患を同定したり、受動喫煙の副作用の発見を報告したりした。
    1993年、米国環境保護局(EPA)が環境たばこ煙(ETS)に対する危険度評価の最終報告書「受動喫煙の呼吸器系への健康影響:肺がん及びその他の疾患」において、ETSをグループA(既知の人体における)発癌物質と分類した。
    但し、1993年のEPAの報告書は、1999年の連邦裁判所におき、そのデータの科学的な検証が不十分である事を指摘されている。
    なお、受動喫煙がもたらす健康障害については、2004年には世界保健機関(WHO)及び英国タバコか健康かに関する科学委員会が、2005年には米国カリフォルニア州環境局が、2006年には米国公衆衛生局長が、それぞれに詳細な報告書を発表しており、今日では学術的に「受動喫煙は科学的根拠を持って健康障害を引き起こすことが示されて論争に終止符が打たれたといえる」と評価されている。
    しかし、それでもなお国際がん研究機関(IARC)が「職場での受動喫煙曝露の影響に関する23の論文のうち、肺がんとの統計的に有意な関連性を見出したのは、わずか1件だけだったと指摘している」事実や、アメリカ血液学会(ASH)の研究責任者ですら、「受動喫煙に関して行われた多くの研究は、一般的な分析によれば、統計的に有意性のない結果を導き出している」と証言したり、BMJ編集者は受動喫煙に関する論争は「正確さよりも、感情が目立っている」と告白している話が有るなど異論も多い。


    「受動喫煙からの解放」
    WHO勧告「受動喫煙からの解放」
    2007年にWHOは勧告書において受動喫煙が健康に害をなしているという根拠と、社会的コストならびに経済的コストの重大な増加を招いていることを示し、その解決策として「受動喫煙からの解放」する政策を提言している。
    提言1 ? 換気をするのではなく、100%禁煙の環境をつくる。
    提言2 ? 法律により包括的に規制する。
    提言3 ? 法律により実行性のある施策が適切に施行されるようにする。
    提言4 ? 家庭内においても受動喫煙を減少させるように社会教育する。
     
    たばこ産業による反対活動
    医学会に代表される禁煙を推し進めようとする勢力に対し、たばこ産業は様々な形で反対キャンペーンあるいは妨害工作を行っているとされている。
    これらはたばこ産業に対する訴訟過程で明らかにされた数百万件の内部文書により明らかとなった。
    2000年 4月8日付けランセット(The Lancet)の出版物の中で、カリフォルニア大学サンフランシスコの研究者達がフィリップ・モリス社及び他のたばこ会社の内部資料を検証した結果、たばこ産業側が論文の解釈に対し、混乱と論争を引き起こすよう画策し、IARCの受動喫煙についての調査研究を妨害していたとの報告が行われた。
    同年8月2日にWHOたばこ産業文書に関する専門家委員会は、たばこ業界が秘密裏に資金を提供しているたばこ産業界と陰で資金的につながりのある国際的な科学者達を使い、WHOのタバコ規制に対する妨害工作を行っていたと報告している。
    2001年5月31日にWHO事務局長グロ・ハーレム・ブルントラント博士は、受動喫煙が疾患の原因となり、許容範囲(安全なレベル)が存在しない旨の声明を発するとともに、たばこ産業による受動喫煙対策への妨害工作を批判している(後述の声明参照)。
    現在までに様々な科学的証拠が発表されており、受動喫煙が害を及ぼすことは各国の禁煙に関する医学界の定説となっている。
    また、米国公衆衛生長官のレポートのように議論の余地は無いとしている。
    しかし、成否について現在においても様々な議論がなされている。
    あるいは、タバコ産業とその関連団体が長年にわたってタバコと健康に関するさまざまな観点の研究と報告書作成に資金を出してきたことはタバコ産業の見かけ上の社会的信頼性を高める役割を果たしてきたが、このような活動に関与することは健康増進という目標と利害相反する行為であり倫理上の問題があるという意見もある[8]。
       

    傾向
    傾向
    日本では、男性の72%が職場や学校で、また女性の51%が家庭で、それぞれ受動喫煙にさらされているとの1999年の調査(約13000人対象)がある。
     
    受動喫煙量の減少
    1988年から、米国の2つの保健機関(米国保健統計局と米国疾病予防センター)による「保健栄養調査」において、血清コチニン濃度を調べることで、非喫煙者の受動喫煙の程度が調査された。
    それによると、2002年に至るまでの約10年の間に受動喫煙量は減少(平均75.3%減)を示したが、受動喫煙の影響はそれでも多大であることがわかった。
     
    子供ほど多い
    年齢が低いほど血清コチニン濃度は高くなる傾向があり、子供は成人よりも高度に環境たばこ煙に曝されていることが示された。
    血液以外でも、尿・唾液・毛髪にも、発癌物質を含むたばこ特異的な成分が、ETSに曝露された非喫煙者から検出されている。
     
    家庭と仕事場で多い
    受動喫煙の程度は国によって異なるが、環境たばこ煙の成分濃度の測定研究によって、家庭と仕事場が主な受動喫煙の場となっている[1]。
    たとえば、喫煙者の住む家の浮遊粒子は、非喫煙者ばかりの家の倍以上の濃度にのぼる。

    出会い系
    受動喫煙の問題点
    受動喫煙に伴う問題は、喫煙者以外の者が当人の意思に関わりなく環境たばこの煙を吸わされ、不快を感じたり病気の原因となることである。
    厚生労働省の委託研究の報告書によれば、建物内では、換気系統を分けたり、換気や喫煙区域設置する「分煙」によっても、受動喫煙をなくす事は不可能であると報告されている。
    受動喫煙は、主に急性影響によって、目のかゆみ、目の痛み、涙、瞬目、くしゃみ、鼻閉、かゆみ、鼻汁、のどの痛み、頭痛、咳、喘鳴、呼吸抑制、指先の血管収縮、心拍増加、皮膚温低下を引き起こす。
    また、特に喫煙習慣をもたない者にとって不快と感じられるだけでなく、慢性影響により、がん、心臓疾患及び呼吸器系疾患などの様々な疾病の危険が高まることから、公共の場、飲食店、職場環境あるいは家庭などの様々な場所や状況における公衆衛生上の問題となっている。
    予防医学の観点からも受動喫煙の防止が社会的に求められている。
    新生児や乳幼児は、自発運動ができず環境に極めて受動的で、呼吸器や中枢神経などが発達途上であり身体的な影響を受けやすい。
    胎児も影響を受ける。
    また、職場環境においては、労働安全衛生上の問題としても取り扱われており(→日本では労働安全衛生法)、訴訟となったケースもある(後述)。
    喫煙者でも受動喫煙を不快と感じる人もいる。
    出会い系@比較を見てみる。

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